うなぎの井口

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うなぎの井口

うなぎをもっと楽しむコラム

うなぎを食べる際、皆さんどんなお酒を飲みますか?
よく『日本酒をうなぎの白焼に合わせる』なんて耳にします。確かにうなぎの白焼をわさびや塩で召し上がっていただきながらの日本酒は、とてもよく合います。でも、今回は日本酒ではなく意外とよく合ううなぎとワインについて紹介しようと思います。

とはいえ、私はうなぎについてはプロですが、ワインについては素人ですから、ソムリエさんにご協力いただき今回の記事は作成しております。うなぎのプロとワインのプロ。それぞれがおすすめするうなぎとワインのマリアージュについてお話しします。

そもそもうなぎとワインの相性って?

うなぎとワインはヨーロッパでは定番の組み合わせです。日本では馴染みの薄い料理ですが、フランスのボルドー地方やロワール地方では「うなぎのマトロート(赤ワイン煮)」という古典料理や郷土料理があり、レストランや家庭でも親しまれ愛されています。

一方で、日本の蒲焼の香ばしい美味しさは、うなぎ×タレが加熱され起こるメイラード反応によるものです。これは肉をローストした時と同じ香りなので、脂のあるうなぎはワインとの相性も良いと言えます。ワインのおいしさは発酵による旨味と酸味です。うなぎは旨味がつまった食べ物なのでうなぎの旨味にワインの旨味を合わせるというのは「旨味×旨味」で非常に良い楽しみ方です。

もはやうなぎの蒲焼とワインは定番の組合せ?

前述の通り、脂ののったうなぎの蒲焼は、お肉と同じように非常に赤ワインとの相性が良いです。もはやうなぎの蒲焼とワインは定番の組合せと言っても過言ではないと思います。

では、どんなワインがうなぎの蒲焼と相性がいいのでしょうか?
以前に紹介したようにうなぎの蒲焼にも関東風と関西風の2種類があり、それぞれで合うワインは異なってきます。
⇒【うなぎの井口コラム】うなぎの焼き方にも東西で違いが!?うなぎの焼き方関東風と関西風の違い

ちなみに関東風は白焼を一度蒸してから焼き上げるため、余分な脂が落ちやわらかい仕上がりのうなぎになります。そんな関東風のうなぎの蒲焼には、うなぎの柔らかな身とまろやかなタレに、熟成したピノ・ノワール種の赤ワインがよく合います。

特にブルゴーニュのピノ・ノワールは熟成すると出汁のような旨みも感じられるので、醤油や山椒にも調和します。より果実の凝縮感があり、酸味の穏やかなカリフォルニアのピノ・ノワールもおすすめです。さらに、スペイン・リオハ地方の赤ワイン「レセルバ」は熟成期間が長いため、醤油のまろやかな風味に奥行きのあるワインの味わいが相まって、ふくよかなうなぎの風味が余韻に広がります。

関西風のうなぎの蒲焼は、焼き上げる際には、関東風と違い、白焼を蒸さずにそのまま焼き(地焼き)ます。蒸さずに焼くため、香ばしい風味と食感が特徴です。関西風のうなぎの蒲焼には、フランス・ボルドーやチリのメルロー種やカベルネ・ソーヴィニヨン種などの樽熟成した赤ワインが、炭火焼の香ばしさに合います。少し酸のあるもののほうが、鰻の脂に溶け込んでマッチします。

また、タレにからんで少し焦がした香ばしさが美味しい焼肝には、スパイシーでスモーキーな風味をもつ、チリや南フランス・ローヌ地方のシラー種のワインを合わせるのがおすすめです。

実はうなぎの白焼にもワインは合います

香ばしく焼きあがったうなぎの蒲焼と赤ワインの組合せは皆さん美味しいイメージがわきやすいですよね。でも、実は白焼にもワインはよく合うんです。というかソムリエさんは白焼とワインを合わせることの方がおすすめされていました。

うなぎの白焼は、シンプルにうなぎの味を味わえます。うなぎの井口のある静岡県浜松市には持ち帰りうなぎの文化があり、当店はまさにそういうお店です。そして、浜松市の多くのうなぎ屋さん(料理屋さん)では、うなぎの白焼メニューをよく見かけます。前述の通りうなぎの白焼はシンプルにうなぎそのものの味が醍醐味な反面、美味しくないうなぎは臭みなどが際立ってしまいます。ですからうなぎの味に自信のあるうなぎ屋さんでないとなかなか提供できません。

そんなうなぎの白焼を楽しむ時にはシンプルな調味料がよく用いられます。そこで調味料(食べ方)別にどんなワインが合うか紹介したいと思います。

まずは『塩』。うなぎの白焼を塩で召し上がる際には、ふっくらとした身と甘い脂の美味しさを引き立てる、ふくらみのある白ワインがおすすめです。樽熟成したボルドーワインや日本の甲州種、ドイツのリースリング種がよく合います。また、山椒と合わせるなら、フランス・アルザス地方のピノ・グリ種などがおすすめです。

そして、うなぎの白焼の定番調味料と言えば『わさび醤油』です。きりっとしたお醤油と日本のハーブともいえるわさびの風味には、フランス・ロワール地方の赤ワイン、カベルネ・フラン種がおすすめです。わさびだけを合わせるなら、清涼感のあるロワール地方の白ワイン、ソーヴィニヨン・ブラン種がおすすめです。

最後に紹介するのは『ぽん酢』です。ぽん酢に合わせるのは、ぽん酢の柑橘感や酸味に寄り添うレモンやかぼすなどの柑橘風味の白ワインがおすすめです。品種で言えばオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー種やスペイン・ポルトガルのアルバリーニョ種などが合うと思います。

蒲焼と白焼、それぞれにワインを合わせるとなるとなかなか大変ですよね。ですので、蒲焼・白焼のどちらにもおすすめできるワインを紹介しようと思います。両方をたのしむのであれば、控えめな果実味がどこか日本酒的にも感じられる、ドイツのシルヴァーナー種の白ワインがおすすめです。皮目の脂、タレの甘味と香ばしさをグッと押し上げ奥行をもたらしてくれる美味しさです。

また、うなぎはハレの日にも相応しいので、シャンパーニュもおすすめです。記念日やお中元などの際にうなぎと一緒に贈るのも喜ばれると思いますよ。

うなぎとワインを合わせる上での注意ポイント

うなぎとワインを合わせる上で注意して欲しいポイントを!
ワイン選びの際に、果実味や酸味、甘味などが強すぎるワインを選ぶのは控えられた方が良いでしょう。果実感が強いとジャムっぽく感じてしまう場合もあります。そのため、シンプルな蒲焼や白焼には甘すぎてしまい、あまりおすすめできません。

当然調理方法によっては甘味のあるワインが合う場合もあります。日本と違い、ヨーロッパではうなぎは泥臭いものが多いため、フランス料理の「うなぎの赤ワイン煮」の場合、赤ワインで煮込むことで臭みを無くす意味があります。そういうお料理でしたら甘味のあるワインなども合ったりします。

ただ、うなぎを白焼で召し上がっていただく場合などは、シンプルなワインの方がお料理に合います。当店では、うなぎには自信を持っていますので、ぜひそういった合わせ方をしていただきたいと思います。

あくまでもうなぎの味を引き立てるということを考えた方が、うなぎとワインを一緒に楽しめます。ワインの完成度が突出している高価なワインなどは、それ自体が出来上がってしまっているため、味同士がぶつかってしまい、ワインとうなぎを一緒に楽しめなくなってしまいます。そのため、うなぎの味を引き立てる控えめな味のワインを選択され方が良いでしょう。

ワインを上回らせないように…ご注意ください。

うなぎとワインを楽しむおすすめ調理方法

うなぎと一緒にワインを楽しむためにワインに合うおすすめの調理方法を2つ紹介したいと思います。

まずは、白焼き+バルサミコ酢を使った「うなぎのソテー・バルサミコソース」です。白焼きを焼く時にオリーブオイルでソテーし、煮詰めて甘みを出したバルサミコソースを添えるだけです。

次に蒲焼+赤ワインを使った「うなぎの赤ワイン煮」です。まず、フライパンにうなぎのタレ、山椒、赤ワイン(お好みのもの)をコップ一杯ほど入れて沸騰させてください。沸騰したらうなぎを入れ、フタをして3分ほど煮るだけです。これで終わり。うなぎを皿に取り出し、少しソースを煮詰めうなぎにかけたら出来上がりです。

この記事は私が書きました

井口 恵丞(いぐち けいすけ)

有限会社うなぎの井口 代表取締役

昭和63年創業、うなぎの白焼のみを販売する「井口うなぎ白焼直売」の2代目として平成8年に後を継ぐ。
以降、法人化、蒲焼やうなぎ関連商品の開発と販売、ビジネスコンテストや店舗の改善で受賞。国際的な味覚の審査機関、「国際味覚審査機構」でうなぎで初めて「優秀味覚賞」を受賞。
毎日うなぎをさばき、うなぎの良し悪しを確認することがを日課としています。

敬老の日と言えば栄養価の高いうなぎがおすすめです
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